単身高齢者の住宅探しについて

2024年12月31日

 十分な資産のある単身高齢者が賃貸住宅の申し込みを断られる事例が増えているという報道がありました。死亡時や認知機能が低下した場合に対応する人がいないことが原因で住宅を貸してもらえないということです。

 新築住宅を購入するか賃貸住宅を移り住むかという問題を2018年頃検討しました。3000万円の住宅をローンで購入した場合(住宅2100万円、土地900万円、30年ローン、金利2%、10年に1度200万円かけて維持保全のための修理をするという条件)と、家賃8万円の賃貸住宅に住み続けた場合(15年で住み替え、費用50万円という条件)の累積経費の比較を行ったシミュレーションがありました。結果は、48年目まではずっと賃貸の方が費用が少なく、賃貸費用が住宅購入費用を累積で上回るようになるのはそれ以降でした。約半世紀の人生の大半を借金の金利支払いに費やすよりも借りた方がQOLの高い人生を過ごせるのではないかという示唆でした。

 建築資材や人件費が高騰した現在、3000万円で戸建ての新築住宅を購入できるかや家賃8万円で子育ても可能な広い住宅を借りられるかは大変難しいので、今でもシミュレーション結果が通用するかは疑問です。引き継ぐ人がいない住宅を所有するのがいいのか、それとも借りた方がいいのか、大変難しい問題です。2025年には75歳以上の高齢者が人口の25%を超えるそうです。当然、単身高齢者の数も増加します。

 高齢者など住宅確保に支援が必要な人を支援するために、「居住支援法人」制度があります。大分県のホームページに支援法人の一覧表があります。弊社も要支援者のお手伝いをする協力店に登録していますが、住宅を提供する大家さんの理解と協力が必要で、実際には支援法人が所有するアパートなどに居住してもらっている場合もあるようです。保証人や緊急連絡先などをあらかじめ用意しておくという備えが必要になっています。

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